「時間があったはずなのに、時間がなくなっているのはなぜか」三弐 万理人 より
時間泥棒の被害を確認する
時間泥棒の捜査の第一歩として、まずは被害状況を確認します。
自分の時間がないと感じる原因を理解し解決するために、まず自分の時間の使い方の実態を客観的に把握することから始めましょう。
自分の時間の使い方を把握するための方法を紹介します。
1 記録をつける
時間がないのは忙しいから。忙しいのは時間がないから。
状況確認がこれだけで終わってしまうから、あなたから時間を盗んでいる時間泥棒が逮捕できないのです。
そのために、できるだけ客観的な被害状況の確認資料、すなわちどのように時間を使っているかの記録を作ります。
毎日の行動や時間の使い方を詳細に記録することで、自分がどのようなことに時間を使っているのかを可視化することができるでしょう。
方法やツールはどのようなものでも構いません。
スマートフォンのアプリや手帳などを使って、1日の中で何をしていたのかを詳細に記録しましょう。
開始時刻と終了時刻、活動内容、所要時間などを記入することで、後で振り返る際に有用なデータを集めることができます。
活動内容に関しては、できるだけ具体的に記録してください。
時間の記録は、細かく分類することがポイントです。
例えば、「仕事」や「家事」という大まかな分類だけでは、どのような活動に時間を使っているのか、どのようなタイミングで時間を無駄にしてしまっているのかなどがわかりません。そこで、例えば「メールチェック」「資料作成」「報告書作成」などのように、細かく分類して記録することで、自分自身の時間の使い方を客観的に見ることができます。
もしそれが誰かからの依頼であったならば、その旨も記録してください。
これらの記録は長期間にわたって続ければ続けるほど精度は上がりますが、今回の目的はあくまで客観的な自分の時間の使い方を知ることにあります。
最低で3日間、長くても2週間ぐらい記録すれば充分だと思われます。
パーソナルインタビュー
とにかく客観的な記録をつけるというのが最重要ポイントですが、「自分がどう時間を使っていると思っているのか」と言う主観的な記録を残しておくのも、面白いかと思います。
それは「パーソナルインタビュー」と言う方法です。
自分自身に対してインタビュー形式で、自分の時間の使い方について問いかけてみましょう。それをドキュメンタリー形式で文章で記録します。
それを客観的な記録をつける前と後におこないます。
主観的な記録と客観的な記録を対比することで、自己分析の精度が上がるでしょう。
ただし重要なのはあくまでも客観的な記録です。主観的な記録は余力があったらチャレンジしてみましょう。
2 記録から平均的な自分の時間の使い方のパターンを割り出し、分類する
客観的な自分の時間の使い方の記録から、平均的な自分の時間の使い方のパターンを割り出します。
仕事のある日のパターンと、仕事のない休日のパターンの2つを作成しましょう。
この日は標準的だったと思える日の記録を、そのまま使っても大丈夫です。
自分の時間の使い方を、以下の3つに分類します。
1.自分の自由にできる時間「自由時間」
2.自分の自由にできない時間「拘束時間」
3.どちらとも言えない時間「グレー時間」
最初に、自分の自由にできる時間を確認します。これはそのままの意味での「自由時間」です。
仕事や義務的な活動から解放された時間で、趣味でも休息でもなんでも、自分で自由に使える時間です。
そして本書において最も重要視する時間になります。
この「自由時間」をいかに充実させるか────いかに増やすかではなく────が本書のメインテーマです。
自分の自由にできない時間について。これは、仕事や家事、通勤時間など、自分でコントロールできない時間です。
自分の意志に関係なく時間を使わなければならない時間のことです。これは、自分の責任や義務によって、時間が占拠されている状況です。
必ず何かをしなければならない時間、あるいは他人から拘束されている時間とも言えます。
最後に、どちらとも言えない時間。これは、自由なのかそうでないのか迷う時間ということです。
これは、移動時間や待ち時間、ちょっとした空き時間など、自由に使える時間ではあるが、自分自身が充実感を感じられない時間といえます。白黒つけられないグレーな時間です。
グレー時間を発見するとアイデアが浮かんでくる?
実は記録をつけていると、自分では明らかに自由時間ではないと思っていた時間が、もしかしたら使い方によっては自由時間になるかもしれないと言うアイディアがたくさん浮かんでくるものです。
そうした時間はとりあえず全てどちらでもない時間としておきます。
このような時間を活用することを時間術のメインテーマとするものも多いのですが、本書においては付帯的な要素として後の章で扱います。
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